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【特集】“森の中”へ行く意義を学ぶ:“森の中”へ行くとどう変わる?

投稿日:
2011年11月20日
カテゴリー:
特集

菅原孝文・布教企画部部長(生長の家本部)に聞く

○森の木を伐採してオフィスを建てること、それ自体が環境に負荷を与えているのでは?

森の中にオフィスを建築するためには、確かに樹木を伐採しなければなりません。ただし、樹木を伐採することが環境に負荷を与えるとは一概に言えません。今回、“森の中のオフィス”を建築する場所は、敷地の約3分の2が長年放置されたカラマツやアカマツの人工林です。この地は元来雑木林でしたが、昭和20年に大規模な山火事が発生し、その後に生育の早いマツ類が植えられました。しかし、林産業の衰退と共に森は放置され、土壌が劣化し生物の住みにくい場所となっています。“森の中のオフィス”は、その人工林部分に設置し、それ以外の敷地は全体が自然豊かな元来の雑木林になるよう、人工林部分を転換していき、生態系保護やCO2吸収につながる森にする考えです。
 なお、CO2の吸収ということでは、人工林の放置放棄林は樹齢50年を超えるとCO2を逆に排出すると言われています。オフィスの敷地の人工林部分は樹齢45〜60年の放置放棄林で、今の状態ではCO2の吸収が見込めません。ちなみに、試算によると、オフィス以外の敷地を広葉樹に林相転換して森林管理をした場合に、50年間に敷地全体で吸収できるCO2は1,101㌧で、このまま放置した場合は459㌧と見込まれています。

○今の本部会館を修繕して使う方が環境に負荷を与えないのでは?

まず、今の原宿本部会館ですが、昭和29年に本館が建設されて本年で57年目と古く、近年では外壁がはがれひび割れも目立ち、修繕して使うには限度に近づいていると考えられます。また、国が定めている耐震設計の基準に達していないことや、教勢の拡大に応じて新館、別館、南館と増設されて大変使い勝手が悪い現状を考えると、現実的には建て替えという選択肢になると考えられます。
 原宿本部会館を建て替えた場合と“森の中のオフィス”を建設した場合とで、どちらが環境に負荷を与えるかを比較するために、建物の建築から運用、解体までのライフサイクル(50年間と設定)を通して排出が予想されるCO2排出量(ライフサイクルCO2といいます)を比較してみました。すると、算出方式に違いはあるものの、前者が18,468㌧、後者が9,107㌧となり、原宿本部会館の建て替えの方がCO2排出量は約9,000㌧多くなりました。このように、“森の中のオフィス”を建築した方が環境負荷は小さいと考えられます。

○森に行くと、出張などが不便になり、教区の運動に支障が出るのでは?

森の中にオフィスが移転した場合の教区への出張は、現在の原宿本部からの出張に比べ不便であることは間違いありません。ただし、生長の家では現在、“炭素ゼロ”運動に取り組んでおり、その一環として出張によるCO2の排出を極力減らす努力をしています。それにより、すでに教区への出張回数が減少していること、また、地球温暖化の一因に人間が快適さや便利さを追求してきたことなどを考えると、移転により出張が不便となることも許容できると考えます。
 なお、出張の減少が教区の運動の支障とならないように、今後は、TV会議やWeb会議、SNSなどを通じた本部と教区のコミュニケーションの活性化、インターネットを活用した映像や資料の配信などに努めていきます。また、これまでの出張内容がすべてWeb等で代用できるわけではありません。特に、教えを学び信仰を深めるという宗教的側面や人間関係を深めることなどは、直接対面することが重要です。今後は、出張して直接対面するべきこととWeb等で代用できることとを精査して、双方を効果的に用いて教区の運動が進展する方策を検討してきます。

○首都・東京に本部がある方が、いろんな企業や団体と交流する上で便利なのでは?

確かに様々な企業や団体は、東京を中心に組織が整備されており、それらとの交流という面では、生長の家本部は東京にあるほうが便利です。しかし、本部が森の中に移転しても、多少不便にはなるものの企業や団体と交流していくことは可能です。また、交流には不便でも、自分たちが率先して都会を離れ自然と調和した新たなモデル社会を築くことが、信仰者としての使命であり、吾々がその姿勢で他の団体や企業に接することは、宗教心や環境意識の啓発にもつながります。
 なお、“森の中のオフィス”は、省エネ技術(自然光や通風に配慮した設計、LED電球を部屋の明るさに合わせて自動調整するシステム、太陽熱を利用した空調、高効率断熱など)や創エネ技術(太陽光発電、バイオマス発電)などの最新技術を活用して、自然エネルギーによる自給を目指しています。この規模のオフィスで自然エネルギーによるZEB(ゼロエネルギービルディング)は、国内に例がなく、世界的にも希有な建築物として、完成後は国内外から多くの人が視察に訪れると予想されます。そう考えると、“森の中のオフィス”へ移転した方が、東京に本部があるよりも他の企業や団体との交流が進むことも考えられます。

○環境に配慮した建設の工夫はどのようにされていますか?

建築物としては、先ほど紹介した省エネ技術や創エネ技術などを用いて自然エネルギーによる自給を目指し、“炭素ゼロ”を実現します。また、鉄筋コンクリート造りではなく木造とすることで建設や解体時のCO2排出減少に努めます。さらに、使用する木材のほとんどを山梨県産材とすることで、木材輸送時に発生するCO2の排出を削減することができ、山梨県の森林を活性化することに貢献することになります。
 施工前には環境影響調査を行い、環境への負荷がなるべく少ない設計や施策を検討してきました。伐採予定の樹木を一本一本検証し、残せるもの、残せる可能性があるものを選定して伐採は最低限としています。伐採した樹木も、薪ストーブの燃料として近隣住民に差し上げ、太い幹は合板の原料として再利用し、枝葉はチップにして活用しています。また、濁水の排出防止への配慮として、数カ所の水路にフィルターソックス(靴下のようなネットにウッドチップを充填し濁水を濾過する装置)を設置しています。
 さらに、造成終了後に植栽する樹木は、敷地内にある実生の苗木を1,000本以上集めて苗床で育成するなど、生態系への配慮も欠かしていません。このように、“森の中のオフィス”では、建築、資材、運搬、造成に至るまで、計画の総体として環境に配慮しています。

○従来よりエネルギー消費が大きくなるのでは?

現在の原宿本部会館における主なエネルギーは、電力と都市ガスです。平成22年度の電力の年間使用量は545,207㌔㍗時で、都市ガスは18,106立方㍍、双方をCO2に換算すると274,272㌔㌘となります。これに対し、“森の中のオフィス”の主なエネルギーは電力で、その年間使用予想量は、別敷地となるメディアセンターを含めて482,000㌔㍗時と見込まれ、CO2に換算すると207,260㌔㌘に相当すると考えられています。これらを比較すると、“森の中のオフィス”では原宿本部会館よりも67,012㌔㌘のCO2に相当するエネルギーの消費削減が見込まれます。なお、“森の中のオフィス”の電力は、太陽光発電と木質バイオマス発電によって賄われる予定なので、電力使用によるCO2排出量は実質ゼロとなります。
 ちなみに、職員の通勤時に発生するCO2を比較してみると、現在、原宿本部会館では年間45,000㌔㌘を排出していますが、“森の中のオフィス”では全員が電気自動車や電気バスで通勤する予定であり、その電力の年間使用予想量は150,000㌔㍗時、CO2に換算すると64,500㌔㌘に相当すると見込まれます。数値を単純に比較すると増加していますが、この電力も自然エネルギーで賄われるので、“森の中のオフィス”への通勤によるCO2排出量は、実質ゼロとなります。

○地元への貢献や交流はどのようにされますか?

“森の中のオフィス”が建設される山梨県北杜市は、「人と自然と文化が躍動する環境創造都市」というキャッチフレーズのもと「環境日本一の潤いの杜づくり」を目指しています。その北杜市の一員とさせていただく私たちは、市の姿勢に協力するため、生長の家としては、オフィスや職員寮で発電した電力を冷暖房のほか交通手段にも利用することで、CO2の排出削減を進め、もし可能であるならば、市と協力して、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用促進と、充電インフラの整備を含めた電気自動車の普及に取り組みたいと考えています。
 また、北杜市には豊かな自然を守ろうと活動している企業やNPOなども数多くあります。“森の中のオフィス”に勤務する職員は、公共団体や企業、団体、地域住民と協力して、勤務時間の10%を使い、地域特性に応じた環境保全の計画づくりや取り組みに積極的に参画して、近隣地域の植林や下刈り、間伐などの手入れ等を行い、生物多様性の保全や森林資源等の持続可能な利用のために貢献する考えです。

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